作家紹介
Kimimasa NAKAGAWA
中川公正
「うたかた」は文学にしばし登場する言葉です。漢字では泡沫であり泡を意味しますが、文学では象徴的に用いられています。『方丈記』の冒頭で、「泡沫は決してとどまることがない事象で、同じものも二つとない。」は印象的で、泡沫を人の世になぞらえ、事象が幾度となく繰り返され、その流れは絶えないと無常が綴られます。
では、現代の「UTAKATA」はどうでしょう。中川公正の作品は、我々が目視によって認識しているこの世の事象を超えたところにあります。それは、幻想との狭間で絶えず姿を変え、日本人にはどことなく懐かしさを感じさせる古の情景です。人の世では見ることがない幽玄な作品に思わず我を忘れてしまうのです。
1954年広島県生まれのアーティスト。1987年AJAC展新人賞、1988年現展新人賞、1997年東京展優秀賞、2020年第4回モダンアートエナジー展inパリ招待出品。2022年東京ZEN展秀作賞、埼玉ZEN展秀作賞。その他個展、推薦、企画、や受賞歴など多数。
1998〜2000年韓国に招きで滞在し制作を行った。芸術総連盟安東支部 客員研究員、成均館大学アートギャラリー(ソウル)など韓国内で個展3回。